YCCの運用柔軟化

  • 2023.08.09
  • ブログ

こんにちは!!スタッフの井深です。

日本銀行(日銀)は2023年7月28日、金融政策決定会合でイールドカーブ・コントロール(YCC)の運用について柔軟化する方針を決定しました。


YCCとは日銀が、長期および短期の金利を操作し、景気を刺激するための施策となります。まず、そもそもイールドカーブとは「利回り曲線」のこと。通常、国や企業が発行する債券は個人の借金と同じく、返済(償還)までの期間が長いほど利回り(債券保有者に支払うべき利子)が大きくなります。YCCとは、このイールドカーブを目標の範囲に収めようとする施策です。

日銀では2016年以降、10年国債利回りが目標範囲に収まるよう介入してきました。なお、その目標値は、当初は0%から±0.1%、±0.2%(2018年)、±0.25%(2021年)、±0.5%(2022年)、そして今回の±1.0%と年々変化しています。つまり、修正は頻繁に行われてきたのですが、一足飛びに0.5%も変わったのは今回が初めてとなるため、世間を騒がせているわけです。ちなみに、国債市場への介入は日銀が国債買入額を変動させることで実施されています。


長期金利が低水準だと市中銀行(民間の銀行)でも低金利が維持され、企業や個人が資金を借りやすくなります。特に企業にとっては設備投資や新規事業開発を行いやすい状況と言えるでしょう。つまりYCCには低金利(長期)による景気刺激が期待されてきたこともあり、実行されてきました。


今回のYCC柔軟化により長期金利が上昇すると、市中銀行における金利も上昇するため、企業の利払いコストが上昇することになります。それにより企業では経常利益が圧迫され、設備投資が控えられる傾向にあります。


日銀の植田総裁は、今回のYCC修正について「政策の正常化へ歩み出す動きではなく、YCCの持続性を高める動き」と説明。しかし、「市場では大規模な金融緩和からの出口戦略の一環との受け止め方が少なくない」とブルームバーグは報じています。

金利上昇によって、企業は物品の売価やサービス提供価格にそのコスト増を転嫁していく必要性に強いられます。それによって国内物価の上昇は起きますが、海外諸国は以前より物価が上がっており、日本と海外諸国との物価の乖離が気にされているところもあったため、必ずも悪い話だけ、というわけではありません。


兎にも角にも、こういった経済の大きな流れにも目を向けながら、戦略的・計画的に事業を営んでいく必要があると思います。






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