預貯金等照会業務のデジタル化 〜2020年10月より〜
- 2020.10.26
税理士の堀です。
国税庁(対象:東京国税局、仙台国税局、神奈川県管内、福島県管内)が、この10月から預貯金の照会・回答業務をデジタル化するようです。行政においても、いよいよ効率化が始まります。
NTTデータの預貯金照会業務ソフトを使用し、まずは東邦銀行・横浜銀行・福島銀行・ゆうちょ銀行の預貯金の照会・回答をデジタル化し、どの程度の作業量の削減、業務の効率化が図れるかを実験するということです。
なんと来年までには、全国120の金融機関及び300自治体へのソフト導入を目指しているようです。
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2020/092401/
知らない人にはびっくりですが、いままで全てのやり取りが書面で行われ、その件数は年間で約6,000万件に及んでいたそうです。(行政機関の金融機関等に対する預貯金等の照会)
<今までの照会の流れ>
質問文書作成→封書詰め→郵送→返送時の開封→返送文書のチェック・保存
なんとも非効率的ですが、このようなアナログ作業に膨大な人手を要し、また金融機関も一連の回答作業に膨大な時間を要していました。
今後、税務調査の効率は格段に向上することが予測されます。
特に個人事業者の非事業預貯金の把握や相続税調査で全国に散らばった預貯金の把握にも威力を増すことになると思います。
また税務調査に限らず、行政の滞納整理や生活保護審査等にも有効な手立てにもなると期待をされています。
マイナンバーと金融機関の紐づけが義務化していけば個人の金融資産の全貌が国に把握されることになる日が来ると思われます。
店舗を持たないネット銀行、日本で開設できる海外口座、ICカードなどの様々な決済手段が増えてきているからこそ、電子化・デジタル化しないと全貌を把握できないのは自明の理です。
全てを把握される一方で、デジタル化が進みすぎるとなにも書類が届かない、社長しかPWを知らず換金できない資産が出てきて困ることが、今後はあるかもしれません。
