令和5年度 税制改正 相続時精算課税制度の見直し
- 2023.05.25
◆相続時精算課税制度における基礎控除(110万円)の創設
相続時精算課税制度とは相続の時に精算して相続税を課税する 贈与税 の制度です。
父母・祖父母から子・孫へ合計2,500万円までの贈与に関して贈与税がかからない制度で税務署への届出が必要です。
もう少し細かく説明すると、特別控除が2500万円あり、これを超える場合は20%の税率で贈与税がかかります。
しかし、相続時精算課税制度により贈与した財産は、相続が発生したときに相続財産に足し戻され、相続税の対象となります。
もし贈与時に贈与税を支払っていた場合は、相続税から支払った贈与税を差し引くことができます。
贈与したのに相続財産に足し戻され、支払った贈与税は相続税から差し引かれる。
つまり、結果的にはプラスマイナスゼロ。
現金を相続時精算課税制度により贈与した場合、節税の効果は全くありません。
ただ、早い段階で現金を渡すことができただけになります。
しかし、値上がりすることが確実な財産の場合、節税の効果が出てきます。
相続時精算課税した財産が相続財産に足し戻されるときは、贈与したときの価額で足し戻されるからです。
2000万円で贈与した財産が、相続が発生したときに1億円の価値になっていたとしても、
2000万円の相続財産と扱われるため、
値上がりした8000万円の分相続財産を抑えることができます。
つまり、値上がりしない財産を贈与する時は、
節税の効果はあまり期待できないということです。
しかも、精算課税制度を一度選択すると、
毎年110万円の基礎控除が一生涯使えなかったため、
節税どころか、節税の邪魔になる場合もありました。
しかし、令和5年度の税制改正により、
令和6年1月以降の贈与から相続時精算課税制度にも基礎控除が創設されたことで、
相続時精算課税制度を選択しても、
その後毎年110万円までは無税で贈与することができるようになりました。
しかも、相続時精算課税制度により贈与した財産は、
基礎控除を超えない限りは相続財産に足し戻されないので、
相続人に対して贈与をするときに適用すると、
今までよりも節税することができる方もいらっしゃると思います。
現状ではこの制度を選択後は、少額の贈与でも税務署に申告が必要ですが、
改正後は年110万円までの贈与は税務署への申告は不要となる予定です。
今後細かい取扱いなど発表されますので、またご紹介させていただきます。
